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伝統工芸は貴重な観光資源。博多織士が丹精込めて着物の帯を織る

宮嶋美紀(Miki Miyajima)さん 
博多織手機技能修士(はかたおりてばたぎのうしゅうし)


宮嶋さん 人物

 JR博多駅から地下鉄でひと駅。地下鉄祇園駅から徒歩ですぐの場所に「博多織工房おりおり堂」がある。ここ博多区御供所町周辺は寺町文化が色濃く残るエリアで、木造坐像では日本一の大きさを誇る福岡大仏や五重塔が有名な「東長寺(とうちょうじ)」、日本で最初の禅寺「聖福寺(しょうふくじ)」、博多織発祥の「承天寺(じょうてんじ)」などが密集している。
 そんな中世博多の寺町文化が漂う環境で、博多織手機技能修士の宮嶋美紀さんは毎日、着物の帯を中心に博多織の生地を織る。子供の頃から絵を描いたりすることが人並み以上に好きだったという。とりわけ、布で何か作ることが好きだったというから、今の仕事は天職のようにも思える。博多織の織手の多くが「博多織デベロップメントカレッジ」を出ているが、彼女もその卒業生の一人だ。
 おりおり堂で生地を織る姿は、考えていた以上に重労働だ。使うのは両手だけでなく、両足も使う。全身を使って織るという感じ。カタンカタンという音をさせながら淡々と織物制作に向き合う姿は、地道な作業だが迫力がある。「食事やトイレ以外は織機に座るようにカレッジの先生に指導されました」と話す。ハードな織作業でストレスが溜まるので、身体だけは同じリズムが保てるように心掛けているという。リズムが乱れると仕上がりにムラが出てしまうのだ。実力はまだまだと語るが、「今できることをやろう」と決心したときから、思っていることが表現できるようになったそうだ。
 現在、子育て真っ最中で母でもある。「息子の宇宙好きがきっかけで、自分も興味を持った」と言うように、作業をしながらノートパソコンで宇宙飛行士の若田光一さんの映像を流すこともある。“行き詰った時に、自分には何ができるか考える”という若田さんの言葉に感銘を受けたという。テレビで見た国際宇宙ステーションからの映像に触発され、帯の柄に幾何学模様を取り入れた。興味を抱いた宇宙が、自分の作品にも影響を与えている。
 織る作業でいつも考えていることがある。絹糸が、どういう風にすれば美しく見えるか。キーワードは光と空気だという。日本で最も有名な織物、京都の西陣織などと比較して、博多織の特徴を表すのに“密なたて糸に太いよこ糸を強く打ち込む”という言葉がある。よこ糸は一本ではなく、数本の糸を寄り合わせて一本にするが、そうすることで糸が空気を含み、光を包み込んで美しさが際立つのでは、というのが彼女の持論だ。

宮嶋さん 帯
宮嶋さん 帯3
宮嶋さん 帯2

宮嶋さん 小物
宮嶋さん ティッシュ

 おりおり堂は手機の見学ができるだけでなく博多織の帯や小物類が購入でき、観光客が気軽に立ち寄れる。ストールや扇子入れ、コースター、ティッシュケースなど多くの商品があるが、中心は帯だ。織りながらいつも想像するのは、使ってくれる未来の持ち主のこと。この帯を締めたら晴れやかな気分になる、この帯があったら大丈夫、そんな風に大切にされる帯を作りたいと思っている。
 彼女はとても芯が強い女性で、様々なチャレンジをしている。そのひとつが、櫛田神社(くしだじんじゃ)の横に建つ「はかた伝統工芸館」で開催されたワークショップ「売れるHAKATA伝統工芸品の開発プロジェクト」に参加したこと。日本のデザイナー、アメリカのデザイナーと共に、彼女が織った博多織の生地を使ったバッグの商品開発が進んでいる。心を込めて織った生地を使ったバッグが、日本のみならず世界で販売される日はそう遠くない。

【メモ】
●宮嶋美紀(Miki Miyajima) 1977年10月10日生まれ
 博多織デベロップメントカレッジ第5期卒業生
博多織工房おりおり堂/福岡市博多区御供所町12-10
●東長寺(とうちょうじ)/福岡市博多区御供所町2-4
聖福寺(しょうふくじ)/福岡市博多区御供所町6−1
●承天寺(じょうてんじ)/福岡市博多区博多駅前1丁目29−9
櫛田神社(くしだじんじゃ)/福岡市博多区上川端町1−41
はかた伝統工芸館(はかたでんとうこうげいかん)/福岡市博多区上川端町6−1
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