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“あかり絵”の世界から子供たちの博多弁が聞こえてくる

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入江 千春 Chiharu Irie

造形作家


公式HP
http://akari-e.com/




あやとり、芋版、紙ずもう、焚火、折り紙、木登り。みんなの記憶に残っている何気ないけれど懐かしい風景を切り取って、温かい灯りを点す。そこに「ぬっかねぇ」「かたらんね」「いくば~い」と子供たちの博多弁のタイトルを添え、誰もが共感できる独自の世界を作り出す。福岡の人なら、造形作家・入江千春さんの“あかり絵”を運良く見かけた人もいるかもしれない。福博であい橋のたもとに建つ旧福岡県公会堂貴賓館に常設されている他、アクロス福岡でも定期的に展示される。なお、絵葉書や絵本などは販売するが、あかり絵の作品自体は販売していない。



2002年、グラフィックデザイナーとして独立と同時に立体も作り始めた。
「私は人形師ではありませんが、駅などの商業施設で博多人形などを扱う老舗店舗がどんどん減っていくのを危機感を持って見ていました。マンションなど今の住まいのスタイルに溶け込む人形や作品を提案できたらいいなと思ったのが、あかり絵を作るようになったきっかけです」
子供たちの人形は、最初紙粘土で作った。紙だと重厚感がなく、つるつるして素朴さが出なかった。陶土は扱いが難しかったが試行錯誤の末、素朴感のある人形が作れるようになった。何より光があたった時のやわらかい印象は、素焼き人形が圧倒的にいい。


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長崎出身の入江さんが博多弁に興味を持ったのは山笠がきっかけだった。会社員時代、どんたくや山笠など地元行事と連動したイベント企画を担当。地元関係者から「お祭りとか分からん人間がそんな仕事をしちゃいかん」と言われ、ならばと自らカメラと脚立持参で山笠を取材した。
「それが面白くて。山のぼせの人たちは、みんな仕事そっちのけ。山笠に出てもお金にもならないでしょ?勝ったの早いの遅いの。若手もっとがんばれ!とか。どうしてこの男の人たちはここまで一生懸命になれるの?でも手一本入れたらやーやーと帰っていく。で、そういう人が私にとっての博多なんです」
博多の人情や空気が好きになり、博多弁を作品に使おうと思った。方言にすることで人間くささとか匂いのある風景が表現できたらいいと思ったという。確かに、子供たちの博多弁で作品がぐんと身近になるのは間違いない。山笠を追うようになって、もう15年以上になる。


作品は同時進行で、2ヶ月かけて5~6作品を完成させる。木材、陶土、紙、布、糸などあらゆる素材を用い加工する。覗き込んでじっくり見て欲しいので、展示する作品はあえてケースに入れたり、柵をしたりしない。そして、今後も作品の販売はしない方針は変わらない。世界中に作品を置いて見てもらいたいとも語る。遊びは違うかもしれないけれど、作品を見て感じる部分、くすぐられる所は全世界共通なのではないか。夢は?と尋ねると「ニューヨークにある国連のロビーに展示したいです」


病院の待合室、老人ホーム、保育所の相談室、お寺、刑務所内の体育館ステージなど展示する場所は徐々に増えている。
「懐かしいね~」
「こんな遊びしたことある?」
多くの人に作品を眺めながら、アルバムをめくるように懐かしい気持ちになってもらえば嬉しいと入江さんは話してくれた。(了)

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あかり絵が常設されている「旧福岡県公会堂貴賓館」
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上品な口あたりと繊細な模様のグラス

ガラス職人

ガラス工房 生 主宰


青木 耕生   Kousei Aoki

ひびの入ったグラス。
雪の結晶を連想させる文様が特徴のガラス製品を作り続ける青木さん。福岡市郊外の油山のふもとに工房を構え、区切りの10年目を迎える。明治ロマン派を代表する洋画家の青木繁を大叔父に持つ。187cmの大柄な体型に髭をたくわえ、長い髪を束ねた姿はいかにも芸術家の風貌だが、話すととても繊細な印象だ。

子供の頃からガラス好きで、宝石やジュエリーデザインに興味があった。九州産業大学芸術学部に進学。在学中、福岡市東区(当時)にあったマルティグラスでインターンシップを経験したのが縁で、卒業後に入社。ところが1年後に同社が解散したため、山口県萩市の萩ガラスに再就職。ここで雪花ガラスにつながる“ひびガラス”に出合うことになる。

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「理想の窯ができたのは最近ですね」と話す青木さん。“窯”にも様々な種類があり、作りたいものによって、燃料も温度も大きさもそれぞれ。電気窯はコストは安いが火力が弱く、青木さんのひびガラスには向かない。油燃料の窯だと煤が出て、やはり向かない。工房で使用するのはガス窯で、大小2つのガス窯を作品によって使い分ける。理想の窯にたどり着くまで、実に8年を要した。

ひびガラスはタブーから生まれた。1400度に達した溶解炉からどろどろの硬質ガラスを棒で巻き取る。軟質のガラス粉をまぶして空気を吹き込む。再び硬質ガラスをかぶせ三層構造にする。ポンテ竿に移し形をこなす。形を変える、青木さんが最も好きな工程だ。一晩かけてゆっくり冷やす。性質の異なるガラスは冷めて固まる温度も違うため、2種類以上のガラスを合わせるのはタブーとされている。これを逆手に取ったのが青木さんが作り続ける雪花グラスという訳だ。軟質ガラス層に「キンッ」という乾いた音と共に亀裂が生じる。表面の硬質ガラス層は無傷だ。4段階の研磨を経て、ようやく完成する。雪花の模様は3年ほどかけて増え続ける。使い続けて愛着と共に模様も増え続ける。

ロックグラス、ビアタンブラー、マグカップ、キャンドルポット、ぐいのみ、ソーサーなど、雪花ガラスの商品は50アイテムある。色はクリアを含め6種。ひとつ新作が出るとひとつ生産を控え、常に50アイテムを維持する。「ロックグラスならこの規格でというように、きっちり計って同じものを作っています」と話すように、同じサイズで生産するためには、50アイテムが限度のようだ。今あるものを突き詰めたい、決まったものを研ぎ澄ましていきたい、と熱く語ってくれた。

青木さんのフィールドは広がっている。JR九州が運行する寝台列車クルーズトレイン「ななつ星in九州」のラウンジカーでは、青木さんが作ったオリジナルグラスが使用されている。持ち心地のよさ、上品な口あたりが評判だ。好きなお酒を美味しく飲みたい。お酒好きの青木さんのこだわりが、今後もフィールドを広げていくことだろう。

< 雪花ガラス工房 生 >
福岡市早良区大字油山180-1
TEL 092-861-8886
■営業時間/10:00~17:00
■定休日/水曜日
■体験教室あり(要予約)

公式HP
http://hibi.shop-pro.jp/

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